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歯科用印象材の進歩
 この写真は、根管治療をした歯にメタルコアをセメントでセットした状態を示しています。その適合状態は大変良好です。このようにぴったりと歯牙の根管内に金属コアがフィットすることは、今から20年前は考えられませんでした。金属コアを試適しても、ぴったり適合することはあまりなくて0.3~0.5mm位浮き上がっても、それは日常茶飯事のことでした。口腔内で印象した時のわずかな誤差、印象材に歯科用の石膏を流し込んだ時に生ずる誤差、そのような誤差がいくつも存在するため口腔内にぴったり適合することはなかなか難しいことだったのです。この画像のように完璧な適合が得られるということは、それだけ歯科材料が進歩してきたと言うことになります。レントゲンの画像を見ても、その適合状態がいかに優れているかよく分かります。これは歯科医療界にとっては、朗報と言ってよいでしょう。
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by tanaka_dental | 2014-05-13 20:57 | 歯科の豆知識
歯科の豆知識
a0124301_1163329.jpgこれは上の前歯の歯茎のところが大きく腫れている患者さんのレントゲン写真です。青い矢印の部分が化膿しているのです。細菌がまわりに広がって目の下まで腫れてしまいました。しかし、このような場合、ほとんどの歯医者さんで切開して中の膿を出せても歯の内部の治療はできませんと言われてしまいます。この歯を治すためには、赤い矢印の金属のコアを削って取り除かなくてはならないからです。普通の歯科の器具ではこれは取り除くことができないのです。なぜできないかというと、これを削るためのタイヤモンドバーの長さは決まっていて、それを使ってもこの深い所まで届かないのです。もし規格以上に長いダイヤモンドバーを使った場合は、今度は手に持っているタービンという器具が破損してしまうのです。だからほとんどの歯医者さんはこれは治療ができないと言うのです。




a0124301_1165383.jpgこれがダイヤモンドバーです。歯医者さんへ何度も行かれた方はきっと目にしたことがあるでしょう。価格は一本が千円前後します。この患者さんの場合、歯医者さんが治療ができないもう一つの理由がこのダイヤモンドバーの高価なことにあります。レントゲン像で見られるような深い金属のコアを削り取るには、この新品のバーが3本も4本も必要だからです。もし削り取れたとしても、その除去の保険の点数は50点つまり500円しかもらえないのです。苦労して取り除いても全くの赤字になってしまうからです。おまけにこの除去するためには、歯牙の破折や歯周組織への穿孔という大きな危険をともなうのです。破折、穿孔ともにこの歯を駄目にしてしまうのです。だから歯医者さんはこの種の治療を敬遠して、治療はできないと主張するのです。それは歯科医の倫理観を問うべきことではありません。他に隠れた様々な大きな問題があるのです。




a0124301_1171381.jpgこのレントゲン写真は、この中の金属のコアを削り取っているところです。この除去の作業は大変な危険を伴うから、歯科医は一瞬たりとも気を緩めることはできません。特殊なダイヤモンドのバーを用いて除去していきます。このような根管の深い部分は肉眼で確認するのは困難ですからレントゲンによって確認していきます。ダイヤモンドバーの先端が金属に触れる感覚もこの手術の助けとなります。いずれにしてもかなり難しい手術なのです。





a0124301_1172951.jpgこのレントゲン像は金属のコアを除去して、化膿している根の先の部分に到達した状態です。このように器具が通るようになると、治療してこの歯牙を治せるようになります。歯科医師が神経をすり減らして一時間ほどかかったこのような治療で、自費請求している歯科医院は日本にはほとんどありませんが、このような歯の中の治療は欧米では5万円から20万の費用がかかるのです。どんなにすぐれた治療を行っても、それに見合った報酬を得られないのが日本の歯科の現状なのです。韓国や台湾の歯科医も日本の歯科医療の費用の安さに驚いているのです。このような日本の歯科の矛盾した状態を多くの人に理解してもらいたいのです。



by tanaka_dental | 2009-06-15 11:10 | 歯科の豆知識