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ブレードインプラントの摘出 【歯界時報 2004年8月 No.592】
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昔、患者さんに埋入したブレードインプラントを撤去してやり直すことになった。動揺し始めて用を成さなくなったからである。12年くらい経ったかなと思って調べてみると17年経過していたので驚いた。大した沈下もなく大きな骨吸収もなく痛みもなく、17年もよく働いてきたと思う。
 このインプラントは若い先生方はご存知ないと思うが、形状記憶インプラントなのである。埋入する時、氷を入れた生理食塩水の中に漬けて十分に冷やして蛸足のように左右に開いた脚部を、特殊なプライヤーで行儀よく真っ直ぐにそろえて、すばやく冷たい生食で冷やした骨窩洞内に挿入して所定の位置にプライヤーで押し込み、さらに外科用ハンマーで叩き込む。後は50℃前後の暖かい生理食塩水をシリンジで骨腔内に流し込んでやれば大きく開脚してびくとも動かなくなり、初期固定を簡単に得ることができる。
 経験のない先生方には想像できないと思うが、冷やせば手で曲がるほど柔らかくなるのである。それでいてチタンなのであり、ダイヤモンドのバーで削ると火花が出るほど硬いのだから不思議である。
 さて、このインプラントを摘出する時は、まず肩部を覆っている皮質骨を肩に沿って骨バーできれいに削除しておき、インプラントの頭部に氷の塊を5分くらい乗せておいてそれが溶けて歯肉に張り付いたなら、氷を取り除き、頭部をプライヤーでしっかり把持して、一気に引き抜けばよい。開いていた脚が閉じて出てくるのである。
 もし諸先生方の中でブレードインプラントを摘出しなければならなくなった時、そのインプラントの形状が蛸足のように交互に開いていたなら、冷蔵庫に氷を作っておくことを忘れないでいただきたい。
 必要以上に患者さんの骨にダメージを与えないためである。
by tanaka_dental | 2004-08-01 17:27 | コラム